段ボールのシミ
段ボールに衣服を詰める、手が止まってしまいました。引っ越し業者さんから、事前に、梱包材などをまとめた段ボールは、一週間前から届いていたのですが、なかなか作業が進みません。私はこの家以外に住んだ事がないのですから、なんだか不安だらけの門出になりそうです。貴重品や割れものは、丁寧に包装をしなくてはならないと思うと、緩衝材が足りなくなりそうなので、事前に古紙回収に出さずに取っておいた古新聞を2階に運び込みました。誰か、家族に手伝ってもらおうかとも思いましたが、すでに涙目になっている自分の姿を見られるのが、嫌で断ったばかりです。お嫁に行くってこんなに不安なものなのでしょうか?なんだか、知らない未開拓の土地に行くわけではないのです。隣駅の隣町の新居に引っ越すだけなのに・・・。自転車で、30分もかかりません。20分もあれば、辿り着くような場所に引っ越すだけなのに、毎日のように同じ職場で顔を合わす妹とも、今まで通り、職場に行けば会えるのに・・・。私は、なんでこんなに涙が出てくるのだろうかと、何度も何度も、自分の荷物を梱包する手が止まってしまいます。引っ越しは、次の日曜日に決まりました。天気も良さそうです。あんなに大好きだった段ボールや緩衝材や包装材に囲まれて、いるのに私は涙がとまりません。きっと日曜日、この梱包を新居で解く頃には、止まっているはずの涙が、段ボールの上にポタポタと落ちては、滲みながらシミとなりました。