自然界の包装

包装は人間だけのものではありません。魚類は通常何万という数の卵を生みますが、ネコザメは一度に2個しか産卵しないため、一つ一つの大きさが格段に大きく、一年程かけて生まれてくる稚魚は20〜30cm程の大きさに育つことができます。

また卵の形はかなり独特で、まるで海藻でできたドリルのような形状をしており、岩や海藻に固定し流されないようにしているといわれています。このように自然界の包装には、中身を保護する役割だけでなく、生態や生活環境に合わせた様々な機能を持っています。

現在も、自然界の包装からヒントを得て応用されているものもありますが、高機能すぎて再現不可能だった包装も、科学・技術の進歩によって新たな包材が生み出されるでしょう。

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高付加価値商品へのリサイクル

トマトの葉茎で作った成形品はトマトの販売用トレーとして十分に使えることが実証できました。1ヘクタールのトマト畑から毎週1トンの葉茎を回収して、古紙パルプと混ぜてトマト500㌘入トレー4500個を、1個あたり0.02ユーロで作ることができたという報告もあります。現在ではトマトの葉茎はそのままコンポスト処理されているので、これはまさに高付加価値商品へのリサイクルの事例といえるでしょう。トマトの生産者にとっては、トマトの生産者自身によって産地で生産された場合は、エネルギーや輸送費のメリットがあります。これはサステナブルビジネスのモデル事業だといえるでしょう。トマトのトレーは実用化されて事業は継続しています。こういった技術は大手化学メーカーも研究しており、飲料およびフィルムの両方での実用化を目指しています。

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国連食糧農業期間と欧州委員会

FAO(国連食糧農業機関)は、8億人以上の人たちが慢性的な栄養失調になっていると発表しています。また、FAOの常任理事は、すべての人に十分な量の食料が生産されているにも関わらず、世界人口の半数以上は、過剰消費と過小供給の状態にあると訴えています。また、欧州委員会の環境委員のひとりは、世界で生産される食料の3分の1が廃棄されている現状には弁明の余地がない。EUは食品の廃棄を2020年までに半減するという目標を設定しました。そして、食品の持続的な供給システムの確立に向けて、食品廃棄ロス問題に着手、食料チェーン全体を通して資源の無駄遣いをなくすことに取り組むと声明を出しました。EUは食品廃棄をもたらす主な原因として、無計画な買い物や意識の欠如をあげています。また、消費者側の調理法の知識不足もあると言っています。

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豆腐パックの進化は止まらない

最近では食品包装も酸素や水蒸気などの外部要因に極力影響を受けないよう包材含めしっかりシールするという一面と、消費者にとって使い勝手のいい「開封のしやすさ(易開封)」という2面性を併せ持つ必要があるというように変わってきています。一例をあげるとお豆腐の包装。豆腐は切り離せない水も合わせて包装しないと、乾燥して売り物になりません。いきおい水漏れしないしっかりした包装が望まれます。これと相反して、開けるときは包丁などの刃物を使うのは、特に子供やお年寄りには危険となるため、できるだけ簡単に開けられるようにする、というのも求められます。そこで現在行われているのが2層構造のフタ材の採用です。外側の1層目をミクロンオーダーのナイロンとし、内側で容器とシールさせる側には厚さが倍近くのPE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)の複合材、更に容器側はポリプロピレンとすることで、密封性と易開封性を実現させています。そしてさらに最近では進化版ともいえる構造に工夫を施した画期的な豆腐パックも考え出され出回っているようです。さらに長期保存にも耐えうる豆腐用パックも開発され話題となっています。これは無菌充填技術と包装技術のタイアップで完成されたものでほぼ無菌状態と言われています。無菌ゆえ長期保存も可能となり、もちろん保存料なども添加する必要がありません。このように豆腐パックひとつとってみても、包装の進化は留まるところをしりません。

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優れた包装機能がある生物たち

自然界には種を守るためとか、卵を守るためといったさまざまな優れた包装機能を持った生物がたくさんいます。木の実の外殻には種を守る外殻にプロペラが付いていて、種を遠くに飛ばします。たんぽぽや綿の実の綿毛も遠くに飛ばすための仕組みです。種子の殻というのは、中身を守るためだけではない機能があるのです。鮮やかな色の美味しい木の実というのは、鳥たちに食べてもらって、種を遠くに運んでもらうという工夫があります。商品の包装というのは、中身の品質を守る役割はもちろんですが、さまざまな優れた機能をもたせることも可能です。品質の保護と簡便性、そしてデザインの美しさの快適性といったものです。動物の卵だったら、外の殻には呼吸できるように小さな穴があいていて、その穴から細菌が入らないように、白身に細菌を溶かす酵素が含まれています。それから胚には栄養に富んだ黄身と胚を守る緩衝材や断熱材の役割のある白身があります。生物が持っているさまざまな優れた機能は、新しい包装の手本になるものが含まれています。こういった自然界を参考にして、優れた機能を持った包材が開発できるという意見もあります。金属缶にはスチール缶やアルミ缶、コンポジット缶といものがあります。缶というのは、18リッター缶より小さな薄板性の金属容器を通常を缶といいます。金属缶は、紙やプラスチックに比べて強度と剛性が大きなものです。耐熱性も高く、光線、酸素、水蒸気などをまったく透過しません。なので、内容物の保存性が良く、外観も美しいという特徴があるといえます。金属缶にはブリキ、ティンフリースヒール(TFS:電解クロム酸処鋼板)、アルミニウムなどがあります。

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包装と環境の問題

包装というのは資源を使って物を包むことでもあります。18世紀の産業革命以降、大気中の「二酸化炭素」の濃度は増加傾向にあるようです。人間の生活と生産活動が大気中の「二酸化炭素」の量を増加させているようですが、「二酸化炭素」の大量発生が「温室効果ガス」として「温暖化」を招いていることをご存じですか。「温暖化」とは、地球の地表面の温度が自然な変動以上に上昇することを言うようです。皆さんも各メディアなどから配信されているニュースなどでご存じであるとは思われますが、地球の「温暖化」により氷河などが解けはじめることから海面が上昇し、気候変動や異常気象への影響につながっている現状が、今後の私たち人間の生活環境にも多大なる変化をもたらすであろうといった予測が専門家たちなどによって述べられております。人間の生活と生産活動が生み出す「二酸化炭素」などの「温室効果ガス」が、地球の周囲をラッピング包装するように地表の温度を上昇されているようなのです。皆さんの呼吸とともに排出される「二酸化炭素」は、大気中の寿命として知られている年数は200~500年などとも言われているようです。現在、排出されている「二酸化炭素」は、500年後の人々の生活を脅かしているかもしれないのです。

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カップ麺の発祥は日本

今や世界的な食品ともなっているカップ麺。その容器に使用されているカップには、創意工夫が詰まったまさに包装容器の結晶とも言っていいのではないでしょうか。もともとインスタントラーメンに始まる日本人のラーメン好きが嵩じて、とうとう容器までまとめて作ってしまったのがこのカップ麺ですが、そこまでにたどり着くために並々ならぬ努力がなされたことは容易に想像できることかもしれません。構造はできてしまえば成程で済まされてしまいますが、現在では、本体は発泡スチロールや耐水性・耐熱性さらにガス遮断性を満たした紙容器で製作され、その外側をシュリンクPP(収縮性ポリプロピレンフィルム)で包むという一重若しくは二重構造となっており、蓋には紙にポリエチレン接着層を介してアルミ箔さらにヒートシール材という多層構造でできていると言われています。単に日常食に留まらす、携帯食としても、更に災害時の保存食としても広く使用されている日本が世界に誇れる包装容器を使った食品と言えるのではないでしょうか。

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パッケージの必要性

商品を保護したり、陳列棚に多数並べられた類似する商品との差別化をはかるためにも、必要とされる外箱などのパッケージですが、ほんの少し前の時代には、パッケージといったものはほとんどの商品に存在しなかったようです。和食に必要不可欠なお醤油、お味噌、塩、砂糖は、自分の家の容器を持参することで量り売りで必要な分量だけを購入し、お豆腐やお魚なども自宅の鍋を持参することでプラスチック製のトレーやビニール袋などは皆無でありました。時代が過ぎゆくなかで産業の発展が過剰な包装技術を生み出したのかもしれませんが、今後の地球環境の保全を考えると、いつまでもこのままではいけないのではないかといったような思いが自分自身のなかを駆け巡っています。今を生きる大人たちが便利な社会を追求するだけではなく、次世代の子供たちのためにも、現代の便利な社会システムにおける必要な改良点を、しっかりと見極めていくべき時がきたのかもしれません。

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袱紗(ふくさ)

最近の若い方の間では「袱紗(ふくさ)」の存在や、意味をご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、「袱紗」は、冠婚葬祭などの公けの場においては、相手の方を思いやる気持ちを表すための重要な役割を果たすアイテムの1つでもあります。「袱紗」とは、小さな風呂敷を言います。結婚式やお葬式などに持参する「のし袋」「香典」などのお金を包装するための風呂敷をイメージしてみてください。「袱紗」で持参するお金を包むことで、冠婚葬祭の大切な場でのお届けものを汚さないようにするためのカバーのような役割をしてくれます。「袱紗」があることで相手にお届けするお金やプレゼントが汚れないように守ってくれるものです。「袱紗」を持参することでお届けものやプレゼントに、清らかなご自身のお気持ちを込めるているという証ともなるでしょう。「袱紗」は比較的小さい風呂敷ですので、お金やプレゼントやお届けものの小物などを包むために使用しますが、「お祝い事」や「お悔やみごと」など、それぞれのシチュエーションの違いによっては、その包装の仕方にルールやマナーがありますので礼儀正しいそれぞれの場でのマナーを理解しておくことが大切です。「お祝いの場」では右包み、「お悔やみ事の場」では左包みなどが基本的なルールとなっています。日常的にご自身の荷物や小物類を持ち歩く際に、風呂敷を結ぶことで何通りもの使い方を編出すことができますが、フォーマルな場におきましては「袱紗」や風呂敷のの結び目が、失礼に当たることもありますのでご使用にあたってはどうぞお気をつけください。

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