バーシール法
バーシール法によってヒートシールを行う場合、ヒートシール材(シーラント)に応じたヒートシール条件が選ばれますが、シーラントのヒートシール適性は、次のような特性によって評価されています。シール開始温度は、ヒートシールが可能な最低温度で、シーラントが単体フィルムの場合、シーラントの軟化点や融点と直接関係してきます。したがって、ワックスのシール開始温度は比較的低く、低密度ポリエチレン(LDPE) ではワックスより高くなり、無延伸ポリプロピレン(CPP) ではさらに高くなります。多層フィルムの場合、シール開始温度は、シーラントの融点だけでなくほかの層の熱伝導性にも関係します。プラスチックフィルムの熱伝導性は一般に悪いため、シーラントへの熱の伝達は速くありません。また、片側加熱のシーラーの場合、基材などのフィルム層の熱絶縁性のためにシールに必要な熱量は多くなります。フレキシブル包装に多く用いられるアルミ箔の熱伝導性は良好ですが、熱をシール範囲の横の方へ逃がしてしまうため、アルミ箔を含む多層フィルムの場合、シールを行うのに多くの熱量が必要となります。シール温度範囲は、一定のシール時間と圧力でヒートシールが可能な温度範囲です。シール開始温度が下限で、上限はシール部や材料の品質が低下せずに満足なシールが可能な最高温度です。シール温度範囲の下限はシーラントの融点に関係してきます。シール時間範囲は、一定のシール温度と圧力でヒートシール可能な時間の範囲で、シール温度が低い方が広くなります。シール時間の上限は、シーラントの分子配向とも関係しており、2軸延伸ポリプロピレン(OPP) は加熱により収縮が起こるため、シール時間範囲はCPPより狭くなります。その他に、シール時間の上限を決める因子としてシーラントの熱安定性があります。シール温度と熱分解温度が接近しているポリマー、たとえばポリ塩化ビニルなどのフィルムのヒートシールは困難です。ホットタック性は熱間シール性とも呼ばれ、ヒートシールバーを取り除いた直後のシール部の剥離に対する抵抗力を表す特性です。一般に、ホットメルトワックスのホットタック性は悪く、シーラントとして一般的なLDPEやエチレン酢酸ピニル共重合体(EVA) のホットタック性はワックスよりはるかに良好です。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)では、さらに良好となり、アイオノマーのホットタック性が最も優れています。この特性は、シールヘッドによって底が形成され、直後に内容品が充填される縦型ピロー包装機の操作において非常に重要です。シールヘッドが開いたとき、内容品の全重量がまだ熱いシール部にかかり、ホットタック性がないとシール部が抜けることになります。